サヨナラからはじめよう
「いいの?待ってるみたいだけど」

お店の前で数人が中村君を呼んでいる。
彼もこの後二次会に行くのだろう。

「あ、はい・・・。あの!土日どちらかでいいので少し時間を作ってもらえませんか?」

「え?」

「長い時間じゃなくていいんです。・・・俺と一緒に過ごしてもらえませんか?」

「それって・・・」

「はい。デートのお誘いです。ほんとに少しでいいんです。お願いします」

中村君は真剣な面持ちで頭を下げる。
これまで、忙しさを理由にのらりくらりとかわしてきたお誘い。
一つの山場を越えたことでもう仕事を理由にすることはできない。


・・・それに。
いい加減少しは彼に真剣に向き合わなければならないのかもしれない。
彼は私がはっきりとした答えを出すまで納得しないと言っているのだ。
適当に流してばかりいても私の答えはいつまでたっても出せないだろう。


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