サヨナラからはじめよう
「・・・・わかった。じゃあこの前のリベンジで映画でもいい?今度こそちゃんと見るから」

「はは、涼子さんと出かけられるなら何でもいいです。土日どちらにしますか?」

「・・・じゃあ明日で」

「わかりました。それじゃこの前と同じで10時に駅前でいいですか?」

「うん」

「・・・ありがとうございます。楽しみにしてますから」

「・・・・うん。二日酔いには気をつけて。どこかの誰かみたいに映画で寝ちゃうと大変だから」

しかめっ面でそう言った私に、中村君はお腹を抱えて吹き出した。

「あははっ!どれだけ自虐的なんですか。大丈夫です。たとえ徹夜だろうと涼子さんと出かけられるなら寝てる暇なんてありませんから」

・・・しまった。
単なる自虐ネタだったのにそっちに持っていかれるとは。
甘い誘惑はほどほどにしてくれ、中村君。

「ほら、いい加減行かないとあっちが痺れをきらして待ってるよ」

「じゃあ明日、待ってます。お疲れ様でした!」

「うん。お疲れ様」

嬉しそうに戻っていく中村君の姿を、ぼんやりと見送った。
明日・・・彼と一緒に過ごす間に何か答えは見つかるんだろうか?

・・・・でも今はその前に。
どうしても見ておきたいものがある。
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