サヨナラからはじめよう
「やっぱり凄い・・・・どこを切り取っても私が理想としてるものばかりだ」

そこに映し出された空間は、これまで自分が見つけ出してきた宝物のような数々の和装インテリアのために作られたんじゃないかと思うほど、全てがとにかく理想的だった。
他の言葉で表現することができない。

『私が求めていたもの』

そこにはそれが全てあった。
彼だからとか関係ない。
探し求めていたものにようやく出会えたことに、胸がドキドキワクワクしていた。

何度も何度も紹介された作品を穴があくほど堪能すると、
いよいよ司のインタビューページへと手を進めた。
一体どんなことが書かれているのか、何とも言えない緊張感が走る。


そこに書かれたプロフィールの中で、
1年半前に独立して自分の事務所を立ち上げたということがわかった。

「だから社長って呼ばれてたのか」

N-styleデザイン事務所と名付けられた会社は、最初こそ小さな物件の設計を中心に行っていたが、斬新ながらもどこか懐かしさを感じさせるその落ち着いた空間に、徐々に業界内で話題となり、今では多岐にわたってデザインのオファーが来るほどの売れっ子になっているのだそうだ。
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