サヨナラからはじめよう
こんなはずじゃなかったんです
「・・・ただいま」

小さな声で目を逸らしながらボソッと返す。
そんなことを気にするでもなく、この男はニコニコ笑顔を絶やさない。

「今日はオムライス作ったんですよ。涼子さんはお好きですか?」


うぅっ!!オムライス・・・?
何故私の大好物を?
まさか記憶が戻った?もしくはそれ自体が嘘?

じっと探るように司の目を見るが、不思議そうに首をかしげるだけ。

・・・単なる偶然?

「・・・嫌いじゃない」

ブスッと愛想なく小声で答えると、司は心の底から嬉しそうに笑った。

「本当ですか?良かったです。じゃあ着替えてきてください。準備してますから」

そう言い残すと鼻歌を歌いながらキッチンへと消えていった。
一体ここは誰の家なんだ・・・?

そう嘆きたくなるけれど、自業自得だからそれもできない。


あの日____
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