サヨナラからはじめよう
中に入るとそこは高さのある天井が広がり、とても玄関とは思えない様相だった。収納棚は無垢だと思われる木で作られていて、そこら中に木の香りが漂っている。
玄関のランプは和紙で囲われていた。
室内へと続くドアは木の格子タイプになっていて、ここだけでも既に落ち着かないほどワクワクが止まらなかった。弾む胸をおさえながらそのドアを横に引いた。

「･････っ！･････素敵･･･」

それ以外に言葉が見つからない。
見渡す限り木、木、木。
部屋の至る所に和を感じさせる趣があり、自分のような和を愛する物にとってはまさにパラダイスとも言える空間が広がっていた。

最新式のシステムキッチンには無垢材の木製カウンターがその足元をぐるりと飾り、視界に入る収納も全て木製で統一されていた。
リビングに隣接する和室には床の間もある純和風スタイルだ。
かと思えば反対側にあるダイニングはアーチ型の入り口になっていて、
あちらこちらに遊び心が感じられる。

他の部屋はもちろんのこと、トイレの内装に至るまで『和』にこだわっていた。
どこのパーツを切り取っても『和』で違いないのに、
全体で見ると何故か『洋』でもある。

不思議だけれど心から落ち着く、そんなデザインの家だった。
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