サヨナラからはじめよう
こんなに温かさの溢れる家に住んでいるというのに、
そのあまりの生活感のなさとのギャップに胸がズキンと痛くなった。


「・・・・あれ?」

その時、キッチン後ろにある戸棚に何かが飾られているのが目に入った。
他には一切の物がないのに何故ここにだけ?
私は興味本位でそれを手に取ってみた。

「・・・・!これって・・・・・まさか・・・」


嘘・・・まさかあの時の?
どうして、どうして彼はこんなものを・・・・


そこまで思考を巡らせたときに外から凄まじい音が響いてきた。


ダダダダダダダダッ!
ガタン、バタンッ!ダダダダダ・・・・
バンッ!!


「涼子っ!!」


髪やスーツが乱れようともお構いなし、
肩でぜぇはぁ息をしながらも私から少しも視線を逸らさない。

目の前には予想通りの人物が立っていた。
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