サヨナラからはじめよう
私の口からでた「カナさん」という言葉に司は信じられない顔で驚いている。

「カナが?!まさか・・・・いつ?」

「もう2週間以上前になるかな。会社を出たところで声をかけられて。カナですって言われて、これは殴り込みに来られたんだって思った。てっきりあの時から関係が続いてたんだろうって思ってたから」

「涼子、それは・・・」

「そしたらいきなりまさかの告白から始まって。・・・・他にも、いろいろ聞いた」

全くの想定外のことだったのだろう。
司は驚きの余り口を開けたまま固まって次の言葉が出てこない。

「最後には・・・泣いて謝られた。私のせいですって」

その言葉に弾かれたように顔を上げると、司は首を大きく横に振った。

「それは違う。全て俺が悪いんだ。あいつは何度も俺を止めたんだ。それでもやめなかったのは俺だ。全ては俺の愚かさが招いたことなんだ。
・・・俺の母親は男への依存が凄まじくて、俺は幼少期からそれを目の当たりにして育った。俺のことなんて眼中にない。しょっちゅう変わる男に縋って生きてる、そういう母だった」

「・・・・・」
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