サヨナラからはじめよう
「物心ついた頃から恋愛に対する不信感があった。それでもなんとか好きになった人もいたけど・・・それもあっけなく終わってしまった。だから愛だのなんだのなんて全く信じられなかったし、もう一生誰とも付き合わないって思ってた。
でも・・・涼子だけは違ったんだ。君だけははじめから違ってた。生まれて初めてだった。自分から手に入れたいと思ったのは」

「・・・どうして?私は何も・・・」

ずっと不思議だった。
どうして彼は私なんかを好きになってくれたんだろうって。

「涼子は俺なんて全く眼中になかっただろう?俺がどんな顔だろうと身なりだろうと、どうでもよかっただろ?」

「そ、それは・・・」

その通りだ。
私が彼に興味を持ったのは設計図が凄かったから。
ぶっちゃけ、彼がイケメンだったと気付いたのはそれからずっと後のことだ。

思い出しながら気まずそうな顔をする私を見て司は優しく笑った。

「それが俺には嬉しかったんだ。俺を形から見てるんじゃないってことが。それに、涼子は俺が何よりも大事にしてきた設計図を褒めてくれた。そのことがとてつもなく嬉しかった。・・・もちろんそれらはきっかけに過ぎない。一緒に過ごす中で、君の優しさや明るさや・・・毎日全てのことにどんどん惹かれていった」
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