サヨナラからはじめよう
「涼子が俺を受け入れてくれたときは天にも昇るほど嬉しかった。
・・・でもそれと同時に急に怖くなったんだ。君がいなくなってしまったらどうしよう・・・って。我ながら情けないと思う。でも、母親の姿やすぐに心変わりした昔の女性がいつも俺の心を締め付けて、息が出来ないほど苦しくなって・・・幸せなのに不安で押しつぶされそうだった。だから俺は・・・」
だんだん話す声が小さくなっていく。
「・・・浮気することにした・・・?」
私の言葉に苦しそうに顔を歪める。
ギュッと手を握りしめると、それはぶるぶる震えているように見えた。
「本当にすまない・・・。いくらカナやその友人達が協力してくれたからって、俺がやったことは最低最悪のクズと変わらない。何も知らない涼子にとっては・・・本当に浮気されたことと同じなんだから。でもあの時の俺は目先のことだけでいっぱいで、そんなことに気づきもしなかったんだ。・・・君を失うまで」
そこまで話すとギュッと目を瞑り、再び開くと射貫くような眼差しで真っ直ぐに私を見つめた。
「涼子が俺の前からいなくなって・・・俺は奈落の底に突き落とされた。・・・いや、自分から堕ちていったんだ。全ては自分がまいた種なんだから。仕事も何もかも手につかなくて、どうしようもないほど抜け殻になってしまった。カナからは酷く罵倒されたよ。それみたことかってね。・・・それでもあいつは俺を見捨てないでくれたんだ。こんなどうしようもない俺を」
・・・でもそれと同時に急に怖くなったんだ。君がいなくなってしまったらどうしよう・・・って。我ながら情けないと思う。でも、母親の姿やすぐに心変わりした昔の女性がいつも俺の心を締め付けて、息が出来ないほど苦しくなって・・・幸せなのに不安で押しつぶされそうだった。だから俺は・・・」
だんだん話す声が小さくなっていく。
「・・・浮気することにした・・・?」
私の言葉に苦しそうに顔を歪める。
ギュッと手を握りしめると、それはぶるぶる震えているように見えた。
「本当にすまない・・・。いくらカナやその友人達が協力してくれたからって、俺がやったことは最低最悪のクズと変わらない。何も知らない涼子にとっては・・・本当に浮気されたことと同じなんだから。でもあの時の俺は目先のことだけでいっぱいで、そんなことに気づきもしなかったんだ。・・・君を失うまで」
そこまで話すとギュッと目を瞑り、再び開くと射貫くような眼差しで真っ直ぐに私を見つめた。
「涼子が俺の前からいなくなって・・・俺は奈落の底に突き落とされた。・・・いや、自分から堕ちていったんだ。全ては自分がまいた種なんだから。仕事も何もかも手につかなくて、どうしようもないほど抜け殻になってしまった。カナからは酷く罵倒されたよ。それみたことかってね。・・・それでもあいつは俺を見捨てないでくれたんだ。こんなどうしようもない俺を」