サヨナラからはじめよう
記憶を辿って顔をしかめる私に司は困ったような顔で笑う。
「涼子は知らなくて当然だよ。俺が一方的に見てただけなんだから」
「・・・どういうこと?」
「1年半前に独立して自分の事務所を興したとき、新しい一歩を踏み出すためにどうしても涼子の顔が見たくなったんだ。一目だけでもいいから元気な姿を見たい。・・・それで申し訳ないと思いながらも会社まで行った。遠くから一目見て帰るつもりだった。でも久しぶりに見た涼子に目を奪われてしまっていた。君は何一つ変わらず・・・いや、ますます綺麗になって自信をつけたようにも見えて、俺には眩しすぎた。・・・そして気が付けば君の住むマンションまでついて行ってしまってた」
「・・・それってストーカーじゃん」
その言葉が相当堪えたのか、司は初めて私から視線を逸らして顔を下に向けてしまった。
そのションボリとした姿があまりにも弱々しくて、思わず抱きしめてあげたくなるほどだ。
もちろんそんなことはできないけれど。
「本当そうだよな・・・。何一つ言い返せないよ。すまなかった。
・・・でも、あの時涼子の姿を見ることができたから今の俺がいるんだ。輝いている君に恥じないような自分にならなければって、あらためて心を見つめ直すことができた。全ては涼子のおかげなんだ」
独立してからの司は飛ぶ鳥を落とす勢いでその名を世間に広めているという。
その活躍の一端を私も担っているっていうの・・・?
そんな馬鹿なと言いたいけれど、司の目があまりにも真剣で何も言い返せない。
「涼子は知らなくて当然だよ。俺が一方的に見てただけなんだから」
「・・・どういうこと?」
「1年半前に独立して自分の事務所を興したとき、新しい一歩を踏み出すためにどうしても涼子の顔が見たくなったんだ。一目だけでもいいから元気な姿を見たい。・・・それで申し訳ないと思いながらも会社まで行った。遠くから一目見て帰るつもりだった。でも久しぶりに見た涼子に目を奪われてしまっていた。君は何一つ変わらず・・・いや、ますます綺麗になって自信をつけたようにも見えて、俺には眩しすぎた。・・・そして気が付けば君の住むマンションまでついて行ってしまってた」
「・・・それってストーカーじゃん」
その言葉が相当堪えたのか、司は初めて私から視線を逸らして顔を下に向けてしまった。
そのションボリとした姿があまりにも弱々しくて、思わず抱きしめてあげたくなるほどだ。
もちろんそんなことはできないけれど。
「本当そうだよな・・・。何一つ言い返せないよ。すまなかった。
・・・でも、あの時涼子の姿を見ることができたから今の俺がいるんだ。輝いている君に恥じないような自分にならなければって、あらためて心を見つめ直すことができた。全ては涼子のおかげなんだ」
独立してからの司は飛ぶ鳥を落とす勢いでその名を世間に広めているという。
その活躍の一端を私も担っているっていうの・・・?
そんな馬鹿なと言いたいけれど、司の目があまりにも真剣で何も言い返せない。