サヨナラからはじめよう
ドクンドクンドクン・・・

だから・・・?
だからあの時このカードキーだけを持ってたの?
会えるかもわからない、それどころか受け取ってもらえる可能性が限りなく低いはずのこのカードをずっと・・・?

「涼子に会って、きちんとけじめをつけるつもりだった。どんなに冷たい態度をとられようとも全て覚悟の上で行った。過去のことも今のことも全て嘘偽りなく話して、その上で涼子の出す答えをきちんと受け入れるつもりだった。・・・だけど結果的にああいうことになってしまった。
それでも・・・最低だと言われても、俺にとっては涼子と共に過ごせたあの2週間は本当に夢のように幸せな時間だったんだ」

「・・・・・」


これが過去から現在に至るまでの全てなのだろう。
彼は全ての審判を私に委ねると言っている。
全てを聞いて私はどうするのだろう。
どうしたい・・・・?


「涼子」

名前を呼ばれてハッと意識が戻ってくる。
見ればこれまでで一番真剣な顔で私を見つめる司の姿がそこにあった。


「全ては俺が悪い。言いたいことがあれば全て受け入れる。殴りたければ殴ってくれていい。
それでも、初めて出会ったときから俺の目には涼子しか見えていなかった。ずっとずっと・・・涼子を愛してる。もう一度俺と新しい人生を始めてくれないか。・・・この場所で」

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