サヨナラからはじめよう
「この大バカっ!!!」

最後に一番大きくドンッ!と胸を叩くと、そこから一気に体の力が抜けていった。

「・・・・・・でも一番バカなのは・・・」

「涼子・・・・?」

「そんなあんたを嫌いになれない自分が一番の大バカ者なんだ・・・」

ボロボロと涙の止まらない顔で司を睨み付けて、震える声を絞り出して言った。

「・・・・・・っ涼子・・・・っ!」

次の瞬間には司の腕の中に閉じ込められていて。
3年ぶりのその場所は驚くほど温かくて心地よくて、
あの頃と何一つ変わってはいなかった。

「バカ!離せぇっ!」

本気でそう思っているわけじゃないくせに、口をついて出るのはそんな言葉ばかりで。

「嫌だ!もう二度と離さない!涼子、涼子っ・・・・!」

「うぅ~~~~っ・・・・」

「本当に悪かった・・・許してくれ・・。・・・・お前を愛してる・・・愛してるんだ」

優しい言葉とは裏腹に私を抱きしめる腕は驚くほど力強くて、
骨が軋むんじゃないかと思うほどで。
それでもそんな場所がたまらなくしっくりきて。

司の胸の中で私はまるで手負いの獣のように泣き続けた。
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