サヨナラからはじめよう
ゴソゴソ頭だけをなんとか動かしてゆっくりと顔を上げていく。

「・・・・・・・ぷっ」

頭一つ分上にいる司が、私と目が合った瞬間破顔した。

カッチーーーーン!

そりゃあ酷い顔なのは自覚してるけどさ。
目は真っ赤に腫れてるだろうし、鼻水もどえらいことになってるだろうけどさ。
もとはと言えばあんたのせいで泣いてるんですけど!

ギロッと不細工な顔で精一杯睨みつけた、のとほぼ同時に。

「可愛い」

そう言って本当に幸せそうな顔で笑った。
その笑顔があまりにも眩しくて、急に照れくさくなってしまったんだ。
あんたの方がよっぽど可愛い顔で笑ってるっつーの!

「な、な、何言ってんの?バカじゃないっ?」

そう言って勢いをつけて司の腕をバリッと引き剥がすと、
くノ一の如く素早い動きでササ-っと元いた場所へと走って逃げた。
みるみる司の顔が不機嫌な色へと変わっていく。

「・・・・どうして逃げるの」

「に、逃げてないよ?元に戻っただけでしょ?」

ジリ、ジリ・・・・司が一歩ずつこちらに近付いてくる。
っていうかなんなんだこの急激なまるでホラー展開は?!
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