サヨナラからはじめよう
徐々に縮まる距離に耐えられなくなって、ふと視界に入った物を咄嗟に掴んで司に差し出した。
「こ、これっ!なんでここにあるのよ?!」
司は私の手に視線を送るとフッと優しく笑って、そのままその手を掴んだ。
掴まれた手はすぐに引き寄せられ、あっという間に体ごと司の胸の中に戻されてしまった。
「ちょ、ちょっと・・・・!」
「そんなの決まってるだろ?俺と涼子で使うためだよ。この家は涼子が選んだ物で埋め尽くされていくんだから」
トクン・・・トクントクン・・・
その言葉に目頭がまた熱くなってくる。
ガランとして何もない部屋に唯一置かれていたもの。
私の手に握られているもの。
それはあの時ずっと見ていた切り子のグラス。
一人で使うには結局どちらも選びきれなくて、散々迷った挙げ句買わなかった。
なんだかどちらか一つだけではその良さが引き立たない気がして。
それが今ここにある。
二つ揃って。
「・・・・バカじゃない?私がここに戻ってくる保証なんてどこにもないのに・・・」
「そうかもしれない。でも俺には涼子しかいないんだ。たとえ一生一人で生きていくことになったって。・・・・それに、こうして涼子は来てくれた」
「こ、これっ!なんでここにあるのよ?!」
司は私の手に視線を送るとフッと優しく笑って、そのままその手を掴んだ。
掴まれた手はすぐに引き寄せられ、あっという間に体ごと司の胸の中に戻されてしまった。
「ちょ、ちょっと・・・・!」
「そんなの決まってるだろ?俺と涼子で使うためだよ。この家は涼子が選んだ物で埋め尽くされていくんだから」
トクン・・・トクントクン・・・
その言葉に目頭がまた熱くなってくる。
ガランとして何もない部屋に唯一置かれていたもの。
私の手に握られているもの。
それはあの時ずっと見ていた切り子のグラス。
一人で使うには結局どちらも選びきれなくて、散々迷った挙げ句買わなかった。
なんだかどちらか一つだけではその良さが引き立たない気がして。
それが今ここにある。
二つ揃って。
「・・・・バカじゃない?私がここに戻ってくる保証なんてどこにもないのに・・・」
「そうかもしれない。でも俺には涼子しかいないんだ。たとえ一生一人で生きていくことになったって。・・・・それに、こうして涼子は来てくれた」