サヨナラからはじめよう
エピローグ
「・・・・ん~・・・」
ごそごそとシーツに潜り込んだ先でごつごつして温かい感触にあたる。
・・・あったかぁい。
その気持ちよさに無意識に擦り寄っていくと、すぐに手が伸びてきてぎゅうっと隙間がなくなるように閉じ込められた。
・・・・幸せ・・・
大きなベッドの中央に寄り添うようにくっついて幸せな時間に微睡む。
「・・・・・今何時・・・?」
はたと思い当たって首を浮かせて壁に掛けられた時計を見た。
・・・途端に現実に引き戻される。
「・・・・・っ!!!ちょっ、司っ!!!起きてっ!時間ないよ!!」
ぴったり私に貼り付いた司の体をゆさゆさと揺らす。
「ん~~~・・・・?」
「寝ぼけてる場合じゃないって!時間っ!!待ち合わせに間に合わないから!早く起きてっ!」
「・・・・いいんだよ、あいつはちょっとくらい待たせてやればいいんだ」
そう言いながら胸元に顔をすり寄せてくる。
こ、この男は全く・・・・!
「じゃあ私一人で行くからね?!」
その言葉を聞いた瞬間司の動きがピタッと止まる。
ジト目で睨む私と目が合うと、さっきとは正反対に素早い動きで起き上がった。
「それだけは絶対駄目。わかった、ちゃんと準備する」
「わかればよろしい」
今日も私たちらしいやりとりは健在だ。