サヨナラからはじめよう
「はい、涼子ちゃんはカシスオレンジ、司は水割りね」

「ありがとうございます」

「サンキュ」

「じゃあ、かんぱ~い!」

賑わいを見せる店内で三人でグラスを合わせる。
『カナさん』と司と三人でお酒を飲む日が来るなんて、昔の私が知ったらひっくり返るんじゃないだろうか。想像するだけで笑ってしまう。

「ん?どうかしたのか?」

「ううん、なんだか今こうしてるのが不思議だな~って」

「そうだよね~。なんてったって涼子ちゃんは私のことを恋敵だとばっかり思ってたんだもんね。こんなオチがあるなんて考えもしないよね~」

「はい」

「はぁ~・・・またその話か」

昔のことに触れられるのはこの上なく居心地が悪いらしく、
司は困ったように盛大に溜息をついた。
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