サヨナラからはじめよう
「・・・・った・・」

ひどく重い体を起こす。
夕べは明け方まで眠れず、
ようやくほんの少しだけ眠れたと思ったら次はひどく体がだるい。
なんだか寒気もする。

よく考えたらおとといずぶ濡れで帰ってきた。
あの後ろくに体を温めもせずに寝たから、
もしかしたら風邪をひいてしまったのかもしれない。

正直この体で出掛けるのは辛い。
でもそれ以上にこの家にいたくない。
鉛のように重い体を奮い立たせて出掛ける準備を始めた。



「涼子さん、おはようございます」

リビングに行くと司が待ち構えていた。
あんなことを言われても律儀に朝食まで準備して。

「・・・涼子さん、顔色が悪くないですか?」

あいつは私を見てすぐに体調が悪いことを見抜いた。
なんですぐにわかっちゃうのよ。

「そんなことない」

「でも・・・」

「今日出掛けてくるから」

「え?」

私はあれから初めて司の顔を見た。
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