サヨナラからはじめよう
「本当はまだ言うつもりはなかったんです。もう少し仕事で成果を上げてからって思ってました」

何?彼は一体何を言ってるの?

「でも、最近涼子さんの様子がおかしいのがずっと気になってました。この前家に送ったときにあの人を見て、凄く焦ったんです。あの人には何かあるって。悠長に構えてて今さら横から奪われるのはご免です。だから予定とは違ってしまいましたけど、俺の気持ちに揺るぎはないです。入社してからずっとあなたのことが好きでした」

「中村君・・・・・」

彼が私を好き?
こんなイケメンエリートが私なんかを?
本当に?本当・・・・

本当だ。冗談なんかじゃない。
彼の目は真剣そのものだ。男の目をしている。

突然突きつけられた事実にどうしていいかわからない。
困惑顔で固まる私に中村君は微笑んだ。

「でもわかってます。涼子さんが俺のことをそういう目で見てないってことは」

「・・・・え?」

「今すぐどうこうしたいってわけでもありません」
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