サヨナラからはじめよう
「あなたを困らせたくて言ったわけでもない」

「・・・・」

「でも俺が本気だってことは知っててください。今すぐは無理でも、時間をかけて俺という男を見てください。俺は待ってます。・・・そしてあなたをきっと振り向かせてみせます」


・・・・眩しい。
そのあまりにも真剣な眼差しが。
ふらふら足元の定まらない自分には眩しすぎて直視できない。

正直、彼のことをそういう目で見たことはないし、
これからも見られるかと言われれば自信がない。
それでも、これだけ真剣な彼の言葉をそのまま無視することなんでできっこない。

「そんなに考え込まないでください。言ったでしょう?困らせたくて言ったんじゃないって」

「・・・中村君」

「でもまぁ突然言われたら困るのは当然ですよね。とりあえず俺の気持ちを知ってて欲しかっただけです。だからこれからもいつも通りに接してください。俺もそうしますから」

「・・・・わかった。中村君の言うとおり、時間をかけてゆっくり考えてみるよ」

その言葉を聞いた彼は、どこかほっとしたような顔でニッコリ笑った。
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