好きになったわけ
序章
もしも、もしも人生にやり直しがきくならば、僕の人生は変わっていただろうか。
答えはわからない。実際にそんなことはできないから。
変わるかもしれない、変われるかもしれない。
それではもし、人生にやり直しがきくならというチャンスを受け取れたとすれば、僕はやり直すだろうか。
答えは決まっている。やり直しなどしないだろう、と。
どんなに辛く理不尽で、どうしようもない人生だったとしても、それは僕が生きた証なのだ。歩んできた道のりなのだ。
それらを否定することは、僕自身を否定することになる。
変えるのは過去ではなく未来だ。
…………だがそれでも、過去に未練が、心残りな事は無いのかと聞かれれば、すぐに『無い』と言い切ることは多分無理だ。