なんで、俺にはなにもない。
小学校5年生の冬。
なぜこんな時期に持久走などやるのか俺には理解できなかった。寒くては身体が固まってしまうし、動かないじゃないか、と不満をもらしていた。
でも、今までの俺とは違う。不満はもらすが、1番で返ってきてやる、と不敵の笑みを浮かべる。
「おー、スズキ。なんか自信ありげな顔だな。」
と横からイケメンでスポーツ万能の杉山輝元、通称スギテルが声をかけてきた。
「まあな、俺は1番になる男だからな!」

…………
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