なんで、俺にはなにもない。
「おい、スズキー。そんなに拗ねることはないだろうよ。たまたま、俺が1番だっただけだろ?」

スギテルとは家がお隣だから、帰り道を一緒。最悪だ。低いテンションで河川敷の石を蹴りながら、文句を言う。

「うるせー、うるせー!
なーにが"たまたま"だよ!
2番より10分早く返ってきたやつが"たまたま"ですか!?はぁー!神様は気まぐれですなぁー!」

完全に自分を見失ってる。怒りながらも冷静に自分を観察ってできるものなのだなと思った。

「今日は調子良かっただけだって。それに、ほら!サッカーは全然ダメだったし!な、たまたまだよ」

「…………だよ。」

うまく声が出なかった。

「ん?なに、スズキ?なんて?」
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