なんで、俺にはなにもない。
「俺はそのサッカーすら、やれてないんだよぉぉぉお!!!」

俺は突然走り出した。もうその場にいたくなかった。ましてや、"1番"だったスギテルとなんか。なぜか、目の前は霞んでいた。
このまま、帰ろう。そして、泣こう…。

「いや、まあそれは仕方ないってことでさー。次だろ!次!次、1番取ればいいんだよー。」

声に驚いて横を向くと、スギテルがあっさりと俺の横に追いついている。
俺はこんな必死なのに、息切れ一つしてないじゃん。

「だからな、スズキ……」
「もう、やめろぉぉぉぉお!!!」
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