向こう側
恐る恐る目を開けると
「え、遠藤さん?!」
あたし、抱えられてる。
「大丈夫か?」
「あ、はい。すいません」
今さらばくばくして気のきいた言葉が出てこない。
「女の子なんだから無理して階段使わなくていいよ。
今日足痛そうだったし」
そうなのだ。新しい靴で多分靴擦れ起こす寸前だったのだ。
よいしょ、と、あたしを立たせてくれて
「定時までとりあえず頑張れよ」
って頭ぽんぽん撫でられた。
気をつけてね、と彼は去っていったが
あたしは胸のばくばくが全然収まらなかった。
これで恋に堕ちた。
階段に落ちなかったのに
恋には堕ちた。
いいのか悪いのかわからないが
一つ言えるのは平凡な毎日が少し彩りだしたことだ。
「え、遠藤さん?!」
あたし、抱えられてる。
「大丈夫か?」
「あ、はい。すいません」
今さらばくばくして気のきいた言葉が出てこない。
「女の子なんだから無理して階段使わなくていいよ。
今日足痛そうだったし」
そうなのだ。新しい靴で多分靴擦れ起こす寸前だったのだ。
よいしょ、と、あたしを立たせてくれて
「定時までとりあえず頑張れよ」
って頭ぽんぽん撫でられた。
気をつけてね、と彼は去っていったが
あたしは胸のばくばくが全然収まらなかった。
これで恋に堕ちた。
階段に落ちなかったのに
恋には堕ちた。
いいのか悪いのかわからないが
一つ言えるのは平凡な毎日が少し彩りだしたことだ。