恋愛奮闘記

「お姉さんは男の人を担当すること結構多いんですか?」

鏡越しに目が合った。

「え…あ、そうですね、私が担当させて頂いてるお客様の3割ぐらいは男性ですかね。全国の美容室で、男性の割合がだいたいそれぐらいみたいなので。特別多いわけではないんですけど」

「ふーん、結構多いんですね」



な、なに?その質問は。
ていうか、多くないって言ったじゃん。

でもせっかく話しかけてくれたんだから、会話広げていきたいな。



「早坂さんはお仕事帰りですよね。お住まいがここの近くなんですか?」

「いや、会社がすぐそこで。家はここから車で15分ぐらいかな。帰ってから美容室行ってると終わるの結構遅くなるんでいつも仕事終わりにカット行くんです」

「お近くの会社なんですね。じゃあ朝どこかですれ違ったりしてるかもしれないですねー!」

うわ、何言ってんだ私。

「はは、ほんとですね!じゃあもしすれ違ったら今度から声かけますね?」

ぎゃあ、なんだこの展開は!



それからは会話も途切れることなくカット出来たけど、いつもならそんなに気にならないことが気になって仕方なかった。

近付きすぎてないかな、とか。
楽しんでくれてるかな、とか。



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