恋愛奮闘記
stage.10
「もしもし矢野!?もう起きてた!?よし、すぐ店に来て!はあ?すっぴん?3分で仕上げて速攻来い!」
橘さんから電話があったのは火曜日の朝のこと。
急いで支度をしてお店に向かった。
化粧には4分かかったけれど。
早坂さんと電話をしてから一週間がたっていた。
あの日覚悟を決めた私は、昨日かかってきた早坂さんからの電話に出ていない。
忙しいと判断したのか、その後メールも来なかった。
これでいい。
これが私に今出来る最善の選択だった。
一週間なんかではまだまだ気持ちはスッキリしないけれど、やるべきことはすごくシンプルだ。
きっといつか早坂さんも私のことを忘れて、私の知らないどこかの誰かと幸せになる。なって欲しい。
私よりも彼を幸せに出来る人なんていくらでもいる。彼はモテるから。人を好きになれなかった過去を持つ彼が自分で選んだ人なら、きっと幸せにしてくれる。