恋愛奮闘記
こいつ…絶対許さねえ。
お店が休業に追い込まれた時、矢野さんは泣いていた。はるかは絶対にしてはいけないことを平気でやった。
「…帰れ」
「良?あの、私は」
「とっとと帰れ!」
はるかは帰りたくなさそうな顔をしていたけど…これ以上刺激されると俺も本気で殴りかかってしまいそうだ。
それを感じとったのか、はるかは走っていった。
もう二度と顔を見たくない。
溜息をついて家に入ろうとした時、視界の隅に誰かが映った。
「!矢野さん…?」
そこには息を切らした矢野さんがいた。
はるかといた所を見られただろうか。
矢野さんはショックを受けたような顔をしていた。
「す、すみません…邪魔して、しまいましたね…」
「違う、矢野さん」
ああ、どうしよう。
よりによってこんな所を見られるなんて。また誤解されるのだけはごめんだ。
だけどそれよりなにより俺は、ただ矢野さんに会えたことが嬉しくて…
「えっ?ちょ、早坂さ…」
気付けば抱き締めていた。
会いたかった。ずっと、この人に。
体を離して目を合わせれば、彼女は驚いて声も出ないようだった。
愛しさが溢れて、我慢出来なくなって、どうしようもなくなって、俺は………。