恋愛奮闘記
そっと目を開けると、矢野さんは驚いた顔でこっちを見ていた。
一度離して、おでこ同士をくっつける。
角度を変えて、もう一度。
確かめるように。
気持ちを伝えるように。
触れ合った所から、俺が考えてること全部伝わればいい。
二度目は一度目より長く。
「ふ……」
「司…」
「……っ」
三度目のキスは、もっと深く。
やばい、俺今絶対顔赤い。
静かな夜だ。
俺たちの心臓の音以外、何も聞こえない。
冷え切った心が、矢野さんがここにいるだけで温かくなっていくのがわかる。
俺が必要としてる人。
自信を持って言えるのは、この先この人以外にこんな感情を抱く人はいない、ということ。
俺よりさらに真っ赤になった矢野さんの顔を見て嬉しくなった後、もう一度ぎゅっと抱き締めた。