恋愛奮闘記



どうして、この人を諦められると思ったのか不思議で仕方なかった。

好き。
好きです。

そう思って、背中に手を回して抱き締め返そうとしたら…



「!?」

唇に何かが当たった。
早坂さんの顔が近い。

こ、これは、もしかして…
キスされてる?

目を閉じる暇もなく唖然としていると、次はおでこがくっついた。

少しぼやけて見える早坂さんの顔。
おでこから伝わる熱。



そしてもう一度。

こんどはさっきより長い。

「司…」



あれ…。
聞き間違いかな。

今、早坂さんが私の名前を呼んだ気がする。
初めて呼ばれる下の名前。
好きな人に呼ばれるだけで、なんだかすごく大切なものに思える。



三度目のキスで、もう何も考えられなくなった。



最後にぎゅっと抱き締めて、早坂さんは体を離した。




「知らなかったとはいえ…ごめん、俺、はるかのこと気付いてやれなくて」

「えっ!?」

いやそれは、私が言ってなかったから…早坂さんは悪くないのに。



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