恋愛奮闘記
「それがね、今回のことが原因で、地方に飛ばされるらしいの」
「えっ!?」
「娘のワガママで自分の管轄下の店を潰しかけた、ってね。さすがにお偉いさん達は黙ってなかったみたいよ」
まさか、だ。
「はあ、なんか急展開ですね」
「私もびっくりした。だけどもっと早くそうなっても良かったと思ってる人がほとんどみたいよ。クビにならないのが不思議だって」
「クビに…そこまでして欲しいとは思ってないですけど…でもなんか、やっと安心出来ました」
「あはは、矢野らしいね。1番ひどいことされたのは矢野なのに。すっごい怒ってるかと思ったらそうでもないんだ?」
「もちろん、腹は立ちましたけど」
店長はじめ、皆のおかげで今は元通りになれたからもう良いんです。
「近いうちに引っ越すんじゃない?私も安したわ。これでもう矢野が傷付かないってね」
「店長…」
「矢野も含めてスタッフ皆は、私にとって家族みたいなものよ。傷付けられたら私だって腹が立つわ」
このお店が好きだ。
居心地のいい、温もりのあるこの場所が。
それを作り上げてきたのは目の前にいるこの人で、私に色々と教えてくれた人。
「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」