恋愛奮闘記
「近いうちに新しい担当の人が挨拶に来ると思うの。今度こそ良い人だといいわね」
「そうですね」
変わっていく。少しずつ、いい方向に。
そこへ、岩佐くんが顔をのぞかせた。
「店長、ちょっといいですか」
「はーい。じゃあ矢野、しっかりね」
「はい」
「岩佐どうしたの?」
「あ、この発注の件なんですけど…」
話しながら二人はフロアに出ていった。
店長、橘さん、岩佐くん。
矢野は少しずつ成長していきます。
バックルームに一人残って考える。
…会いたいな。
待っててと言われて待っているけど。
こんなにも頭の中で考えてること、きっと彼は知らない。
「会いたいよ…」
誰にも聞こえることのない私の声が、空気に溶けていった。