恋愛奮闘記
「…好きなの」
今までずっと、伝えたいのに伝えられなかった反動からなのか。
いくら伝えても足りない。
「好き。好き…っ。
早坂さんのことが、好き…」
すると突然、唇を塞がれた。
自然と瞼を閉じる。
少しだけ涙の味がした。
「…それ以上言われると、俺ちょっとヤバイから」
「え…」
「ただでさえ好きな人に好きって言われて舞い上がってんのに…やばい。ほんとやばい。俺、矢野さんのこと好き過ぎ」
や、やばいとは…?
「違います…。私が、早坂さんのこと好き過ぎるんです」
またぎゅっと抱き締められた。
「あーもう駄目。ほんと無理。矢野さん可愛過ぎる」
な、なんですかそれ…
泣いたり赤くなったり私の顔は忙しい。
「…初めてだよ。こんなに誰かを愛しいと思うのは」
「私も、です…」
「だからやばいんだって。…もう絶対離さないから」
「絶対離れないから…絶対離さないで下さい」
早坂さんは目を見開いて、それからため息をついた。
「もう知らねー。何回もやばいって言ったのに煽ったのはそっちだから」
そういってされたキスは、好きの気持ちが全部伝わってくるようなキスだった。