恋愛奮闘記
「やっと出来た……」
真っ暗な家の中、早坂さんの声と自分の心臓の音だけが響く。
「今日顔みた瞬間からずっとこうしたくて仕方なかった…」
「り…は、早坂さん」
「……呼んで?」
「えっ…」
「呼んで?司」
かあっと顔が熱くなった。
ずっと下の名前で呼ぼうとしてたの、ばれてたんだ…
「り、良…さん」
勇気を出して名前を呼ぶと、肩をもたれて向かい合わせにされた。
「嬉しい。司…嬉しい」
恥ずかしさがピークに達して俯いていると、あごを持たれて顔を上げられる。
そして、噛み付くようなキスをされた。
「んっ…」
「司…」
「良さ、ん…」
キスの合間に何度もお互いの名前を呼んで。
幸せの渦に飲み込まれて。
彼の名前を口にすることがこんなにも幸せなことなんだと、初めて知った。