恋愛奮闘記



その日、あの美容院に行ったのは本当に偶然だった。



いつも行っていた美容院で担当してくれていた人が転勤になったのだ。

この機会に店を変えて髪型の雰囲気を変えてみようと思い、仕事の休憩時間に近くの美容院を検索した。



6時半、その店に入ると、好感の持てる若い男が案内してくれた。

ふと鏡越しに後ろを見たら女の子がいた。



今思っても不思議だが、その子を見た瞬間に体に電流が走ったような気分になった。



(なんだこれ…)



味わったことのない感覚に戸惑う。



その子が髪を切ってくれている間、俺は何とかして会話したいと思った。



「お姉さんは男の人を担当すること結構多いんですか?」


それは単純に気になったことだった。

この子はきっとモテるだろう。
俺みたいに、担当してもらえて喜んでる男が他にもいるはずだ。



その答えは、およそ3割、ということだった。


「ふーん、結構多いんですね」


おもしろくない。

初対面なのに、嫉妬のような感情が湧き上がる。



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