恋愛奮闘記
シャンプーを終えた早坂さんをカットし始める。
この前電話で声を聞いたけど、顔を見るのは久しぶりだ。
緊張しながら話しかける。
「いつも一ヶ月に一回のペースでカットに行くんですか?」
「いや、いつもはもうちょっと…一ヶ月半ぐらいですかね。今回はちょっと特別で」
?そうなんだ。
会社で何かあるのかな?
「その…、
あさってのために、です」
どきっとした。
あさっては、私と会う日だ。
「矢野さんと会う日のために、です」
そこまでハッキリ言われると私も気付く。
早坂さんは、私と会うときのために、身だしなみを整えておこうと思ってくれたんだろう。
私がカラーやトリートメントをしたみたいに。
そんなこと言われてときめかないわけがない。嬉しい、嬉しすぎる。
「え、あ、そうなんですね。
………嬉しいです」
どきどきする。
早坂さん、どんな気持ちで言ってくれたんだろう…。