恋愛奮闘記
「って、本人のところに切りにきてたら意味ないかもしれないですけどね」
ははっと笑う。
その笑顔にまたやられる。
気付いてる?わざとなの?
もし、わざとでも良い。
私のための笑顔なら。
「ありがとうございました!」
「じゃあまた、あさって。
ありがとうございました」
早坂さんが帰っていく。
見送って、はあーっと息を吐き出す。
1時間でこんななのに、日曜私心臓もつのかな…
「矢野さん、ちょっと良いですか」
「え…どうしたの?岩佐くん」
岩佐くんに呼ばれてバックルームに入る。フロアでは、橘さんが接客している。
相変わらず流れるような仕事っぷりだ。
「さっきの人…早坂さんとどういう関係なんですかね。付き合ってる、とか」
…
はい?
急になんだ。
「ま、まさか!そんな訳ないし、どんな関係って言われてもまだ来てくれたの今日で2回目だよ?」
「あー、そうですよね。じゃあなんであんなこと…」
岩佐くんが何かを考えるしぐさを見せる。
「なに?なんか言われたの?」