恋愛奮闘記
その日の営業後。
「今日は私、お先に失礼しますね!お疲れ様でした」
「お疲れー矢野ー」
「矢野さんお疲れ様です」
「……帰ったわね。さて岩佐、あんたどう思う?」
「いや、あんなの間違いなく両想いっしょ。変に勘違いされる俺の身にもなって欲しいっすよ」
「でしょ!?もうお互い変に考えてないでくっつけばいいのに!あーじれったいわー」
「橘さん。俺らが手出ししたら駄目っすよ。本人達が自分でお互いの気持ちに気付くのが一番面白いですから」
「そーねえ。ま、もうちょっとお互いのこと知る時間も必要かな。時にはイキオイってのも大事だけど」
そう会話しながら帰る準備をする。
「あれってやっぱ、一目惚れってやつですか」
「どっちが?」
「どっちもっす」
「初対面の時のあいつらの顔みた?私は一発でわかったね」
……
そんな会話が繰り広げられていたことを、私は知らない。