恋愛奮闘記


「よし、じゃあ行きましょうか。勝手に店決めちゃいましたけど」



何事もなかったかのように早坂さんが歩き出す。

ま、待って、今の!

追求したいけど出来るはずもなく、慌ててついて行く。





「…どこに行くんですか?」

「着いたらわかる。その前に」


そこで言葉が途切れる早坂さん。

その前に、なんですか?




「そろそろやめない?敬語で話すの」


それは、私も実は気になっていた事。

早坂さんは年上だし、お客様だし、私は敬語を使うべきだと思っている。
でも早坂さんは、私に敬語で話す理由がない。
敬語じゃなくても良いですよ、とわざわざ言うのも変な気がして、なかなか言えないでいたのだ。




「あの、私もそう思ってました。早坂さんは知らないと思うんですけど、私実は早坂さんより2歳年下なんです。
だから気を遣わずに話して頂けると」


「あ、2つ下なんだ。予想通り。
けど俺は矢野さんにも普通に話してほしいな。敬語だとなんか距離感じるっていうか…あー、上手く言えねぇ」


距離!?それは、縮めていい距離なの!?


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