恋愛奮闘記
それからしばらくしてお店を出た。
家までの道を歩きながら、また何気ない会話をする。
明日からの仕事のこと、
天気のこと、
家の近辺のお店のこと…。
なんとか、なんとか笑顔を保つ。
動揺を隠す。
俯かないようにする。
家の前についたところで二人とも足をとめる。
「また、一緒に飲みにいこう?」
早坂さんが声をかけてくる。
「はい!是非また行きましょうね!私はいつでも大丈夫なのでっ」
私はね。
「良かった。また誘うから」
私の大好きな笑顔を残して彼は自分のマンションへ入っていった。
私も自分の家へ入る。
鍵を閉め、電気も付けずにベッドに倒れこむ。
…どうして?
頭から離れない。
あの後、トイレから戻ってきた早坂さんは携帯を見て驚いていた。
…そして、すごく悲しそうな顔で少しだけ笑った。
泣き顔よりも悲しい表情があること、
目の前で知ってしまった。