恋愛奮闘記
stage.6
9月。
大型の台風が接近していた。
「…天気悪くなってきたね」
今は営業中。
これから天気が大きく崩れるとの天気予報のおかげでお店は空いていた。
もう、今日は予約も入らないかもしれないな…。
「そうですね…。お店、早めに閉めますか?もうお客様もこなさそうですし。私達帰れなくなっちゃうかもしれませんよー」
「そうだね。ちょっと店長に提案してくる」
そういって橘さんがバックルームの方へ行った。
風が強まってきている。
今度の台風はかなり大型らしく、日本列島を今まさに縦断中である。
学生の時なら、警報が出たら休みだ。
でも仕事はそうはいかない。
1日お店の休みを増やすだけで売り上げにも多少影響してくるし、休みになった学生さんがここぞとばかりに来店したりする。
つまり、他の人が休んでいる時に忙しくなる仕事なのだ。
今は夕方の4時。
台風は今日の夜最も接近するらしく、もう誰もこないだろう。
「お店、もう閉めるってさ」
「わかりました。急いで掃除だけしちゃいますね」
岩佐くんはもう掃除に取り掛かっている。心なしか顔が嬉しそうだ。