恋愛奮闘記
街は騒然としていた。
みんな、自分の家やお店の状況を見て嘆いている。
今頃ニュースでも大変な映像が流れているのだろう。
嵐が過ぎ去った後の天気の良さが、今は恨めしい。
「隣のお店、外に看板出しっ放しだったみたい。それがよりによって窓に当たったからうちのお店だけこんな酷いことになったんだよ」
私が来る前にもう調べたのだろう、橘さんが説明してくれた。
「遅くなりました!」
岩佐くんがバタバタと駆け込んできた。
遅いといっても、いつも出勤する時間よりはだいぶ早い。
私は絶望的な気分だった。
お店を開けられない。
この状態から元に修復するのに、どれだけ時間がかかるのだろうか。
今までみたいに、営業出来るのだろうか。
「どうすればいいの…?」
そう言った私の声は震えていたかもしれない。
「…とりあえず、ビルの管理会社に連絡して修復のメドを立ててもらうわ。鏡やセット面のイスは…新しく買い直せばいい」
店長が言った。
だいぶ冷静になってきたのか、その声は落ち着いていた。
「私達は、私達に出来ることをしましょう」
力強い言葉だ。