恋愛奮闘記
すぐ近くのカフェに入り、はるかさんはコーヒー、私は紅茶を頼んだ。
向かい合って初めて顔をちゃんと見たはるかさんは、とても綺麗な人だった。
私とは正反対なタイプの、大人っぽいクールな印象を持った。
いつだったか早坂さんを強引に食事に誘っているところを目撃した時は、ちょっと我儘そうに見えたけど…今はそんなことを感じさせない程に凛とした雰囲気だ。
「ねえ」
コーヒーを一口飲んだはるかさんは、真っ直ぐこっちを見つめている。
「あなた、良とどういう関係?」
「付き合っては…いないです」
なんと言おうか迷った挙句、そう言った。付き合ってはいないけど、良い感じなんですよというニュアンスを含んだつもりだけど…
「あぁ…やっぱりね」
途端、はるかさんが笑った。
「良があなたみたいな人相手にするわけないもの。遊ばれてるんじゃない?」
…これはさすがに嘘だろう。
前に早坂さんから、はるかさんの事は聞いていた。付き合っていたこと、その時にしたこと、それからのこと。
知っていたから、なんとか冷静に話を聞くことが出来た。
それに多分、自分でも予想はしていたのだ。
きっとはるかさんは、早坂さんに近付く女は排除するだろうから、いつか今日みたいな日が来ること。