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『新入生は速やかに体育館に移動してください』
「お、じゃぁ今日はここまでな。続きは明日。じゃ、番号順に廊下並んでー」
放送がかかって自己紹介は中断。
みんなが一斉に教室を出る。
廊下に並んで、隣のクラスが移動するのを待っていると、トントン、と後ろから肩を叩かれた。
「あ…あの…しつけ糸、ついてる」
「え!?」
後ろに並んでいた鈴原さんだった。
鈴原さんの指差す下を見ると、スカートの後ろにまだしつけ糸が少し残っていた。
「うわ…!」
恥ずかしい…!
「取ってあげるね」
鈴原さんは、しゃがんでしつけ糸をほどいてくれた。
「あ、ありがとう…」
お礼をいうと、何も言わずに、照れくさそうに笑った。
か、かわいい……
自己紹介の時見えなかった顔が見えた。
女の私でも思わず見とれてしまったぐらい、とても可愛い子だった。
背が低くて、髪の毛は自然な色の柔らかい茶髪で、女の子らしい女の子。
顔上げたら、もっと可愛いのにな…