** b l u e **



中3の夏、受験を意識し始めたとき、優奈の志望校を聞いた。


優奈は、体育に力を入れていて、運動部の強い私立高校に行きたいと言った。


その高校のテニス部に入りたいと。




運動音痴の私には、優奈の目指している学校に行くのはだいぶ無理がある。


それに、私立高校はお金がかかるから、親に迷惑をかけるわけにはいかなかった。


本当は優奈と同じ高校に行きたかった。


でも、優奈にこれ以上甘えるわけにはいかないし。そろそろ自立しなくちゃいけないと思い始めた。


そして、私の受けた学校は、家から少し遠い、同じ中学の人はほとんどいかないような高校。


私のことを知ってる人が誰もいない中で、優奈に頼らず自分の力で、一から始めようと決めた。



「…よし」


優奈に手を振って別れた後、気合いを入れ直して私はまた、駅に向かって歩き始めた。



"最初が肝心"



中学のときみたいに空っぽな3年間は絶対に送らない。


高校生活は一回しかない。


大人になって振り返ったとき、もう一度あんな高校生活を送りたいって思えるような高校生活を送りたい。


< 3 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop