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私たちは、次の駅で降りて、また最寄り駅まで戻った。
「そーだ名前言ってなかったよね。俺、金井秀太。」
「あ、白石未希です」
「白石、ね。よろしくね」
男の子は、それきりあんまり話さなくなった。
ちょっとホッとしたけど、気まずい、わけでもないんだけど…なんだかフワフワしたような変な気分で、金井くんの隣を歩いた。
周りは同じ高校の学生で溢れていた。
1年生…かな?わかんないや。
あ、でも、金井くん、私が1年生だって、すぐわかってた。
何でだろ…
そんなことを考え込んでいると、
「あ、しゅーた!!」
少し先を歩いていた男子の集団が、振り返って金井くんに声をかけた。
「おー。悪い」
金井くんはその男子たちのところに行きかけて、あ、という顔をして私を見た。
「あ、いいよ、行って。
本当にありがとう」
「…そっか。ごめんね。…じゃぁ、またね。」
さっきのような優しい笑顔で、手を振った。
…手 おっきいな…
金井くんのさらさらの黒髪が、風にゆれた。
春の日差しのせいか、眩しく見えた。
不覚にも、どきっとしてしまった。