シナリオ

赤月　陽

「わーひろーいっ」


きゃーっと声をあげながら彼女はソファにもたれかかった。

もともと大人数で暮らしていた家だ。
広いのは当たり前のことで、個人的には、いつも一人でいたからいつもより狭く感じる。
まぁ、でも、こっちの方が断然いい。


「ちょっ！由比っ！あんま、迷惑かけちゃだめだって・・・」
「え～きもちぃよー？清もおいでよ～」
「っー」


何か言いたげに歯を食いしばる彼女に、
俺は「行ってもいいよ。自由にして。自分の家なんだから」と声をかけた。

しばらく、俺の方をじっと見ていたが、申し訳なさそうにソファに向かって行った。

「あのー・・・すいません、なんか・・・」
「なにが？気にしないで。俺は一人暮らしだし、賑やかくて楽しいや」


ははっと笑ってみせるが、やはりまだ申し訳なさそうな顔をする。

そりゃ、そうだろうな、と心の中で納得し、俺は台所に向かった。

さっきまであんなにおびえていた三人が嘘のようにはしゃいでいるのを見て、なんとなくほっとした。


なんであんなにおびえていたのかはわからないけど、どうやら少し慣れてくれたみたいだ。
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