【完結】ホイクメン!
自分の犠牲も厭わず、准一は絶対に清香の腕を離さなかった。




当時の清香は肥満児で、野球で日々鍛えていても男子高校生1人の力でその体重を支える事は難しい。


片腕で清香を引き上げた際に准一が負った“致命傷”。


不幸中の幸い、失ったのは彼の命ではなかった。




プロ野球のドラフト候補選手として名前が挙がっていたはずの准一。


しかしこの時起こした靭帯損傷と脱臼のせいで、その後プロ野球界から声が掛かる事はなくなってしまった・・・。




「清香1人も持ち上げられないくらいの腕力じゃ、どうせプロ入りしたって通用しなかったんだよ。」




この言葉は准一の強がりでしかない。


ビアガーデンでぽろりと零れたあの一言が、きっと彼の本心だった。
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