【完結】ホイクメン!
彼の立つ少し先には倒れた自転車。


きっと彼は、私が車に乗せられそうなこの現場を見て駆けつけてくれたのだろう。




「大丈夫か・・・?」




ちょうど街灯の切れ目。


暗くてその顔を確認できなかったが、私は涙で滲む視界に彼を入れながらこくりと弱々しく頷いた。




私の返答を確認した彼は、車の中で固まっている4人の男に怒鳴り声を上げる。




「お前ら今何しようとした!?

車のナンバー覚えてっから、すぐ警察にチクって捕まえてやるからな!!」




その言葉に慌てた4人の男たち。


後部座席のドアが勢いよく閉められ、そのまま車は急発進する。




脇道のない一本道を逃げるように走り抜け、彼らは私たちの前から一目散に姿を消した。
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