【完結】ホイクメン！

ポケットからタバコを取り出し、何かを誤魔化すかのようにタバコに火を点けた信明。


彼の腕は私を逃がすまいと、私の肩に置かれたままだ。




視界に広がるオレンジ。


今日信明と最初に会った時には高く上がっていたはずの太陽が、もうすぐ石狩湾の水平線に沈もうとしている。


この小樽で生まれ育ったはずなのに、私はこの毛無山からの景色を数える程しか見た事がなかった。


そして日没の景色を見るのは、恐らく今日が初めてとなる。




「なぁ、優香？

一目惚れってやつをお前は信じる？」




「えっ・・・？一目惚れ!?」




一度会っただけで好きになってしまう事。


“一目惚れ”という魔法は、その後会う頻度が少ない程どんどん膨張し思いが深くなっていく。