【完結】ホイクメン!
「優香・・・?

まだそこに葵はいる・・・!?」




信明にそう問われ、私はゆっくりと頭を振り返答した。




「そうか・・・。

いや、さっき一瞬だけだけど、俺もわずかに葵の気配を感じたんだ。」




海風に紛れて、優しいキスをするかのように。


葵さんは私と信明の間を擦り抜け、思い残す事なく天国へ行く事ができたようだ。




「一瞬頬に温かいものが触れたような気がしたんだ。

きっと葵は、俺の傍にいてくれたんだな・・・。」




霊感がないはずの私たちが感じた死者の思い。




ずっと伝えたかった思いを抱え、強い意志を持ってこの場を訪れたからなのだろうか。


何故私にだけ葵さんの姿が見えたのかという事はわからないけど、何となくその理由は想像できていた。
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